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KickFlipの1stと2ndアルバムを聴き比べ!サウンドとコンセプトの進化とは

サラ・チェ (Sara Choi)
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JYPエンターテインメントからStray Kids以来7年ぶりに誕生したボーイズグループ、KickFlip。彼らはデビューするやいなや「スーパー新人」としてK-POPシーンに衝撃を与えました。その勢いは留まることを知らず、デビューからわずか4ヶ月で2ndミニアルバムをリリースし、その存在感を確固たるものにしています。

私が特に注目しているのは、彼らの音楽性とコンセプトの進化です。デビューアルバム『Flip it, Kick it!』と2ndミニアルバム『Kick Out, Flip Now!』は、それぞれがユニークな魅力を放ちながらも、グループとしての確固たるアイデンティティと成長の軌跡を示しています。

この記事では、2枚のアルバムを徹底的に聴き比べ、そのサウンドとコンセプトの進化を紐解いていきます。

デビュー作『Flip it, Kick it!』|自由を叫ぶ反抗の狼煙

2025年1月20日にリリースされたデビューミニアルバム『Flip it, Kick it!』は、KickFlipというグループのアイデンティティを世界に知らしめた記念すべき作品です。予約注文だけで30万枚を突破し、韓国のサークルアルバムチャートで初登場1位を獲得するなど、彼らの登場がいかに待望されていたかを証明しました。

コンセプト|2000年代スケーターボーイの自由な魂

このアルバムの核となるコンセプトは、2000年代初頭のスケーターボーイを彷彿とさせる「自由」と「若さ」です。決められた型を蹴破り、自分たちの道を切り開くというグループ名に込められた意志が、アルバム全体を貫いています。

タイトルトラック「Mama Said」の歌詞では、親の期待に抗い自分のやりたいことを貫く姿勢が歌われており、若者が抱える葛藤と解放への渇望を表現しています。この反抗的でありながらも心地よいエネルギーが、多くのファンの共感を呼びました。私が感じたのは、彼らが単なるアイドルではなく、同世代の代弁者としての役割を担おうとする強い意志です。

全曲レビュー|多彩なサウンドで示す「スライム」コンセプト

『Flip it, Kick it!』は、メンバーがデビュー会見で語った「スライムのようにどんなコンセプトでも消化できるグループ」という言葉を体現した、ジャンルレスな魅力に満ちています。

トラック名特徴メンバーの貢献
Mama Said (뭐가되려고?)ポップロックベースの反抗的なアンセム。キャッチーなギターリフが印象的。アマル(作詞)
Umm Great (응 그래)先行公開された自信に満ちた楽曲。グループの目指すサウンドを提示。アマル、ドンファ(作詞)
WarriorsDay6のYoung Kが作詞。力強い詠唱パートがファンの間で高評価。
Knock Knockメンバーのボーカルスキルが光るカジュアルなトラック。
Like a Monster曲のビルドアップが秀逸な一曲。ゲフン、アマル、ミンジェ(作詞)
See You on Tomorrow (내일에서 만나)コンサートでの合唱が目に浮かぶようなノスタルジックな締めくくりの曲。

このアルバムは、ポップロック、ヒップホップ、そして感傷的なトラックまで意図的に幅広く収録することで、KickFlipの音楽的な引き出しの多さを見せつけました。特にメンバーが積極的に作詞に参加している点は、楽曲に真正性と深みを与えています。

2ndアルバム『Kick Out, Flip Now!』|進化する反抗の物語

デビューからわずか4ヶ月後の2025年5月26日、KickFlipは2ndミニアルバム『Kick Out, Flip Now!』で迅速なカムバックを果たしました。このスピード感は、K-POP市場での勢いを維持し、存在感を固めるための明確な戦略です。

コンセプト|より具体化された「反抗的な学生」

『Kick Out, Flip Now!』では、デビュー作の漠然とした「スケーター」というテーマから、より具体的な「反抗的な学生」へとコンセプトが進化しました。「Class time」「Break time」「After School」といったアルバムのバージョン名や、タイトルトラック「FREEZE」の「Kick out, we don’t need no education!」という歌詞からも、その世界観が明確に伝わってきます。

このカムバック期には公式ファンダム名「WeFlip」が発表され、ファンとの絆を深める重要な一歩となりました。私が素晴らしいと感じるのは、このコンセプトの進化が、ファンを飽きさせず、常に新しい物語を提供するという強い意志に基づいている点です。

全曲レビュー|確立されつつあるKickFlipサウンド

2ndアルバムでは、デビュー作で示したポップロックサウンドを継承しつつ、よりエネルギッシュで洗練された楽曲が並びます。

トラック名特徴メンバーの貢献
FREEZEエレキギターが牽引するエネルギッシュなタイトルトラック。「モンスター級のサビ」と評される。ドンヒョン(作曲)、ゲフン、ドンファ、ミンジェ(作詞)
제끼자 (Skip It!)ショーケースで披露された、楽しくてエネルギッシュなBサイド曲。
언젠가 태양은 폭발해朝の気分を盛り上げるのに最適な、陽気で楽しい一曲。
Electricityボーカル表現が特徴的で、ファンの間で議論を呼んだトラック。
Complicated!!多くのファンがアルバム最高傑作と評価するBサイド曲。アマル(作詞)
Code Red「Complicated!!」と並び、ファンから高い評価を得ている楽曲。
How We KickFlipファンダム「WeFlip」に捧げられたファンソング。

タイトルトラック「FREEZE」は、デビュー曲の方向性を引き継ぎながらも、よりパワフルなサビでサウンドの進化を感じさせます。特筆すべきは、日本人メンバーのアマルが作詞を手掛けた「Complicated!!」がファンから絶大な支持を得ていることです。これは、グループのクリエイティブ面における彼の貢献が拡大していることを示しています。

2枚のアルバムから見えるKickFlipの戦略と未来

デビューからわずか半年で2枚のミニアルバムをリリースしたKickFlip。その活動からは、JYPエンターテインメントの緻密な戦略と、彼らが担う未来への期待が見えてきます。

デジタル戦略|ストリーミング時代の巧みな戦術

現代のK-POPにおいて、デジタルプラットフォームでの成功は不可欠です。しかし、KickFlipはApple Music上で同名の別アーティストが複数存在する、という新人にとって致命的な問題に直面しました。

この課題に対し、彼らはApple Music限定で高音質版の「FREEZE (Apple Music Edition)」をリリースするという戦略的な一手に出ます。これは、限定コンテンツによってファンを正しいアーティストページへ誘導し、検索問題を解決しようとする非常にクレバーなアプローチです。私が思うに、これはデジタル時代のブランディングがいかに重要かを示す好例です。

Spotify ストリーミング数 TOP5 (2025年7月時点)

  1. Mama Said|約503万回
  2. Umm Great|約404万回
  3. Knock Knock|約220万回
  4. See You On Tomorrow|約138万回
  5. Like A Monster|約118万回

ストリーミングデータを見ると、デビューアルバムの曲が依然として強く、彼らの音楽が長く聴かれ続けていることが分かります。

Stray Kidsの後継者としての期待

KickFlipは、メンバーが作詞作曲に深く関わる「自主制作アイドル」という点で、同じJYPの先輩であるStray Kidsの成功モデルを継承する存在と位置づけられています。

デビュー作での国内チャート1位獲得という即時の成功に加え、ロラパルーザ・シカゴやサマーソニックといった世界的な音楽フェスティバルへの出演が早くも決定していることは、JYPが彼らを第5世代のグローバルな柱として育成しようとする強い野心の表れです。

まとめ

KickFlipの1stミニアルバム『Flip it, Kick it!』と2ndミニアルバム『Kick Out, Flip Now!』を聴き比べると、彼らが一貫して「若者の自由と反抗」をテーマに、ポップロックとヒップホップを基盤としたエネルギッシュなサウンドを追求していることが分かります。

デビュー作では「スライム」のように多彩な音楽性を示し、2ndアルバムでは「反抗的な学生」という具体的なコンセプトで物語性を深め、サウンドをよりパワフルに進化させました。

メンバーのクリエイティブな関与、デジタル時代に対応した巧みな戦略、そして世界を見据えた活動展開。これらすべてが、KickFlipが単なる「スーパー新人」に留まらず、K-POP第5世代を牽引するリーダーになる可能性を秘めていることを示しています。彼らの次の一手が、どのような形で私たちを驚かせてくれるのか、今から楽しみでなりません。

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