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BABYMONSTER

【YGの遺伝子】ベビモンのラップがK-POPの常識を覆す理由

サラ・チェ (Sara Choi)
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K-POPシーンにおいて、YGエンターテインメントは常にヒップホップというジャンルで特別な存在感を放ってきました。BIGBANGのG-DragonからBLACKPINKのジェニーとリサに至るまで、彼らが輩出する「アイドルラッパー」は、常にシーンの基準を塗り替えてきたのです。私がこのYGの輝かしい歴史を受け継ぐ次世代として、今最も注目しているのがBABYMONSTER(ベイビーモンスター)のラップラインです。

彼女たちのラップは、単にスキルが高いという言葉だけでは片付けられません。ルカ、アサ、アヒョンという3人が織りなすパフォーマンスは、YGが築き上げた伝統的なスワッグと、第4世代ならではの新しい感性が見事に融合しています。

この記事では、BABYMONSTERのラップがなぜK-POPの常識を覆すほどのインパクトを持つのか、その理由を徹底的に解説します。

BABYMONSTERのラップラインとは?YGの系譜を継ぐ3人の実力者

BABYMONSTERのラップの心臓部を担うのが、ルカ、アサ、アヒョンの3人です。彼女たちはそれぞれが異なる個性と強みを持ち、その組み合わせがグループにしか生み出せない独自の化学反応を起こしています。一人ひとりのスタイルを理解することが、彼女たちのラップの凄さを知る第一歩です。

重厚なグルーヴの錨|ルカ

グループ最年長であり、日本人メンバーのルカは、BABYMONSTERのラップに安定感と重みをもたらす「錨」のような存在です。彼女のラップスタイルは、ハスキーな低音ボイスから繰り出されるパワフルでグルーヴィーなフロウが特徴と言えます。

私が彼女のパフォーマンスで特に感心するのは、ビートの奥深くでリズムを刻むような、余裕さえ感じさせるステージングです。プレデビュー期のサバイバル番組『Last Evaluation』で披露したCLのカバー「MTBD」は、まさに圧巻でした。YG伝統の「スワッグ」を完璧に体現する彼女の存在が、グループのパフォーマンス全体を引き締めています。

超高速のテクニシャン|アサ

ルカとは対照的に、もう一人の日本人メンバーであるアサは、超高速ラップを武器とするテクニシャンです。彼女のラップは、そのスピードと正確さから「弾丸」や「機関銃」と形容されることが多く、一度聴けば誰もがその技術力の高さに驚くでしょう。

しかし、彼女の魅力はスピードだけではありません。デビュー曲「BATTER UP」では作詞作曲にも名を連ねており、クリエイターとしての才能も証明しています。日本人でありながらネイティブレベルの韓国語を操り、高速でも一音一音をクリアに発音するディクションは見事です。アサの存在は、BABYMONSTERのラップが技術的に第4世代トップクラスであることを決定づけています。

万能型のワイルドカード|アヒョン

グループのエースとして圧倒的なボーカル力で注目を集めるアヒョンですが、彼女のラップスキルも一級品です。アヒョンは特定のスタイルに固執せず、楽曲に応じて攻撃的なラップからメロディアスなフロウまで自在にこなす「万能型」のラッパーと言えます。

彼女の最大の強みは、パワフルな歌声からラップへシームレスに移行できる点です。これにより、楽曲の展開が予測不可能でダイナミックになります。「SHEESH」で見せたような3人でのラップパートは、アヒョンがいるからこそ実現した複雑な構成です。彼女はまさに、グループのパフォーマンスレベルを一段階引き上げる「ワイルドカード」なのです。

特徴ルカ (RUKA)アサ (ASA)アヒョン (AHYEON)
主な役割メインラッパー, メインダンサーメインラッパー, 作詞家「エース」, リードボーカル, ラッパー
スタイルの特徴重厚、パワフル、低音グルーヴテクニカル、高速、俊敏なフロウ万能、インパクト、パワフル
声のトーンハスキー、ディープクリア、シャープパワフル、クリア
特筆すべきスキル圧倒的なステージプレゼンス作詞能力、高速デリバリーシームレスなボーカル・ラップ移行
先輩との類似性CL (2NE1)独自のスタイルジェニー (BLACKPINK)

楽曲で見るラップラインの戦略|YGサウンドの継承と進化

個々のメンバーが高いスキルを持つことは間違いありませんが、その真価は楽曲の中でどのように発揮されるかで決まります。BABYMONSTERの楽曲は、YGサウンドを色濃く受け継ぎながらも、彼女たちならではの進化を見せています。

デビュー曲「BATTER UP」|王道のYGスタイル

デビュー曲「BATTER UP」は、まさにYGの王道ヒップホップスタイルを体現した一曲です。重厚なビートの上で、ルカの安定したラップが土台を築き、その直後にアサが高速ラップでエネルギーを爆発させる構成は、彼女たちの強みを分かりやすく提示しました。

この「パワー対スピード」という対比構造は、BABYMONSTERのラップラインの基本形です。この曲で、彼女たちは自分たちがYGの正統な後継者であることを世に知らしめたのです。

賛否両論を呼んだ「SHEESH」|技術と歌詞のジレンマ

「SHEESH」は、アヒョンが合流し、3人体制のラップを初めて披露した楽曲として大きな注目を集めました。ルカ、アヒョン、アサが目まぐるしく掛け合うラップパートは技術的に非常に高度で、その実行力は多くのファンから賞賛されました。

一方で、歌詞の内容については「意味よりも響きを優先している」という批判も受けました。これは、リリックの深みよりも音としてのキャッチーさを重視する近年のYGサウンドが抱えるジレンマを象徴しています。技術的には満点でも、作詞能力を持つアサのポテンシャルを最大限に活かせているかという点では、課題が残る結果となりました。

ヒップホップ純度を高めた「DRIP」と「CLIK CLAK」|ファンが求める姿

私がBABYMONSTERの真骨頂だと感じたのは、アルバム収録曲の「DRIP」です。この曲はタイトル曲以上にヒップホップ色が強く、メンバーのカリスマ性が存分に発揮されています。YGのアイデンティティを前面に押し出したリリックと、各メンバーの個性が光るフロウは、多くのファンから「これこそが聴きたかったBABYMONSTERだ」と絶賛されました。

さらに「CLIK CLAK」では、ボーカルラインのメンバーも含めた全員がラップに挑戦し、グループ全体のスキルレベルの高さを証明しました。これらの楽曲は、彼女たちが定まった型にはまることなく、多様なヒップホップスタイルを乗りこなせることを示しています。

なぜベビモンのラップはデビュー前から評価されたのか?

BABYMONSTERのラップが特別なのは、デビュー曲がリリースされるずっと前から、その実力が広く認められていた点にあります。その背景には、YGエンターテインメントの巧みなプロモーション戦略がありました。

『Last Evaluation』というYGの巧みな戦略

YGは、リアリティ番組『Last Evaluation』を通じて、メンバー一人ひとりのスキルをデビュー前に徹底的に見せつける戦略を取りました。当時、第4世代K-POPアイドルの一部には「スキル不足」という批判的な声がありました。YGはこの風潮を逆手に取り、楽曲への評価が定まる前に「BABYMONSTERは全員がとてつもなく才能豊かである」という共通認識を作り上げたのです。

この戦略は見事に成功しました。デビュー後、楽曲に対して賛否両論が巻き起こった際も、「メンバーの才能は本物だが、曲がもったいない」という論調が主流になりました。これは、新人グループにとっては非常に有利な状況です。YGは、彼女たちの実力への評価を先に固めることで、音楽的な挑戦をしやすくする土壌を整えたのです。

個々のスキルを証明した伝説のステージ

『Last Evaluation』では、各メンバーがその後の評価を決定づける伝説的なステージを披露しました。ルカが見せたCLのカバーは、彼女の圧倒的なステージ掌握力を証明し、YGの先輩たちからも絶賛されました。

アサが披露したJoyner Lucasの「Look Alive」リミックスは、彼女を第4世代屈指のテクニカルラッパーとして認知させました。さらに、アヒョンはボーカルだけでなくラップでも非凡な才能を見せつけ、オールラウンダーとしての地位を不動のものにしました。これらの個々のパフォーマンスが積み重なり、BABYMONSTERはデビュー前から「スキルお化け」という評判を確立したのです。

第4世代K-POPにおけるベビモンの立ち位置

強力な個性とスキルを持つBABYMONSTERのラップラインですが、彼女たちは第4世代という多様なラッパーがひしめくシーンの中で、どのような立ち位置を築いていくのでしょうか。

「BLACKPINK 2.0」という批判をどう乗り越えるか

BABYMONSTERが直面する最大の課題は、偉大な先輩であるBLACKPINKとの比較です。特に、攻撃的なヒップホップサウンドは「BLACKPINKの焼き直し」と見なされることも少なくありません。これは、同じレーベルの成功の方程式を踏襲する以上、避けられない宿命とも言えます。

この批判を乗り越える鍵は、アサの作詞能力など、メンバー自身の創造性を楽曲にさらに反映させていくことです。YGのサウンドという強力な武器を使いこなしながら、いかにしてBABYMONSTERだけのオリジナルな色を打ち出していくか。彼女たちの本当の戦いはここから始まります。

他の第4世代ラッパーとの比較|(G)I-DLEソヨン、aespaジゼルなど

第4世代には、(G)I-DLEのソヨンのようなプロデューサー兼ラッパーや、aespaのジゼルのようなグループの独自の世界観に溶け込むラッパーなど、多様な才能が存在します。その中で、BABYMONSTERの強みは、純粋なラップの技術的熟練度と、ヒップホップの伝統に根差したパワフルな実行力にあると言えるでしょう。

彼女たちは、楽曲を自ら作り上げるソヨンのようなタイプではありません。しかし、与えられたビートを乗りこなし、ステージを支配する能力においては、他の追随を許しません。アサのスピードとルカのパワーの組み合わせは、第4世代のガールズグループにおいて唯一無二の武器です。

まとめ

BABYMONSTERのラップラインは、YGエンターテインメントが長年培ってきたヒップホップの遺伝子を受け継ぎながら、それを現代的にアップデートする可能性を秘めた存在です。ルカの重厚なグルーヴ、アサの超絶技巧、そしてアヒョンの万能性。この三位一体の構成は、他のどのグループにも真似できない強力なシナジーを生み出しています。

デビュー前からその実力を証明し、楽曲への批判さえも乗り越えるほどの高い評価を確立した彼女たち。今後の課題は、偉大な先輩の影から脱却し、自分たちだけのオリジナルなスタイルを確立することです。彼女たちが創造的な自由をさらに手にした時、BABYMONSTERはK-POPのラップの歴史に新たな1ページを刻むことになるでしょう。私が彼女たちの未来に期待せずにはいられない理由は、そこにあります。

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