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NewJeansが解散ではなく“活動休止”を選んだ真実|契約解除と5000億ウォンの違約金

サラ・チェ (Sara Choi)
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2024年11月28日、世界中のファンに衝撃が走りました。K-POPシーンの頂点に君臨するNewJeansが、所属事務所ADORとの専属契約を一方的に解除すると発表したからです。成功の絶頂でなぜ彼女たちは自ら活動にブレーキをかけたのでしょうか。

私がこのニュースに触れたとき、単なる契約トラブルではない、K-POP業界の構造的な問題を象徴する出来事だと直感しました。この記事では、NewJeansが「解散」ではなく「活動休止」を選んだ背景にある複雑な対立の構図、法廷闘争の行方、そして巨額の違約金の真相に迫ります。

彼女たちの決断が、K-POPの未来にどのような影響を与えるのかを徹底的に解説します。

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巨大企業HYBEとADORの対立構造

この問題の根底には、NewJeansメンバー個人の問題ではなく、親会社であるHYBEと、所属レーベルADORの経営陣との深刻な対立があります。この企業間の権力闘争が、結果的にアーティスト自身を巻き込む事態へと発展しました。

親会社HYBEの「マルチレーベル体制」の矛盾

HYBEは、複数のレーベルが独立して音楽制作を行う「マルチレーベル体制」を掲げています。これは各レーベルの創造性を尊重する画期的なシステムに見えます。

しかし、その実態は、レーベルの「創造的な自律性」と親会社の「経営的な統制」との間に緊張関係を生んでいました。ADORのプロデューサーであるミン・ヒジン氏の独創的なクリエイティブと、HYBE全体の経営戦略が衝突したのが、この問題の核心です。

ミン・ヒジン代表の解任とメンバーの反発

対立は2024年4月、HYBEがミン・ヒジン氏に対し「ADORの経営権を奪おうとした」として監査に着手したことで表面化します。これに対しミン氏は、HYBE傘下の別レーベルからデビューしたILLITが、NewJeansのコンセプトを模倣していると強く反発しました。

NewJeansのメンバーにとって、ミン氏は単なるプロデューサーではありません。グループの創造性を体現し、外部の圧力から守ってくれる保護者でした。彼女たちがミン氏の解任に強く反発し、一貫して支持を表明したのは、自らのアイデンティティが脅かされると感じたからです。

法廷闘争へと発展した「いじめ」告発の真相

経営陣の対立は、やがてアーティストを巻き込んだ「いじめ」問題へと形を変え、国の機関を動かす社会的な議論へと発展しました。これは彼女たちの悲痛な叫びであると同時に、世論を味方につけるための戦略的な一手でもありました。

ハニが涙で訴えた国政監査での証言

2024年9月、メンバーのハニは緊急生配信で、HYBE社屋で他のグループのマネージャーから「無視しろ」と指示される場面に遭遇したと告発しました。この衝撃的な告白は大きな反響を呼び、K-POPアイドルとしては異例となる国政監査への参考人出席に繋がります。

2024年10月15日、ハニは国会の場で涙ながらに証言しました。「人間として尊重するならば、少なくとも職場内でのいじめと仲間はずれ問題はないはず」という彼女の訴えは、多くの人々の心を揺さぶりました。

雇用労働部が下した「アイドルは労働者ではない」という判断

ファンによる嘆願書を受け、韓国の雇用労働部が調査に乗り出しました。しかし、2024年11月20日に下された判断は、多くの人にとって衝撃的な内容でした。

雇用労働庁は「ハニは労働基準法上の『労働者』に該当しない」として、調査を終結させます。その理由は、固定給ではないことや、勤務時間が定められていないことなどから、事務所との関係は「雇用」ではなく「業務委託契約」に近いというものでした。この判断は、K-POPアイドルが法の保護の対象外であるという、業界の構造的な問題を浮き彫りにしました。

食い違う主張|ILLIT側の反論とCCTV映像の謎

ハニの告発に対し、名指しこそされなかったものの、関連が指摘されたILLITの所属事務所BELIFT LABは全面的に反論しました。彼らは「『無視して』という発言はなかった」と断固として否定します。

BELIFT LABは、防犯カメラ(CCTV)の映像を根拠に、ILLITのメンバーはハニに対して深々と90度のお辞儀をして挨拶していたと主張しました。これに対しNewJeans側は、問題発言があった部分の映像が意図的に削除されたと再反論し、真相は藪の中となっています。

なぜ「解散」ではなく「活動休止」なのか

メンバーは自らの意志で契約解除を申し出ましたが、法的な壁に阻まれ、活動できない状態に追い込まれました。彼女たちが「解散」ではなく「活動休止」という言葉を選んだ背景には、この法的な拘束力があります。

専属契約解除の通知と「NJZ」としての独自活動

事務所との信頼関係が完全に破綻したと判断したNewJeansは、2024年11月にADORに対して専属契約の解除を正式に通知します。彼女たちは自分たちの手でキャリアをコントロールするため、2025年2月にはグループ名を一時的に「NJZ」に変更し、独自の活動を開始しました。

これは、既存の枠組みからの完全な決別を意味する、強い意志の表れでした。しかし、この独立への道は長くは続きません。

裁判所による活動禁止の仮処分命令

ADORは、専属契約が依然として有効であると主張し、NewJeansの独自活動を禁止するよう裁判所に申し立てました。そして2025年3月21日、ソウル中央地方裁判所はADORの主張を認め、NewJeans(NJZ)としての独自活動を禁止する仮処分命令を下します。

裁判所は「信頼関係が回復不可能なほどに破綻したとは十分に証明されない」と判断しました。この決定により、彼女たちは法的に一切の芸能活動を禁じられることになります。この命令を受け、グループは2025年3月23日の香港公演で、無期限の活動休止を宣言せざるを得ませんでした。

5000億ウォン?|違約金の存在と契約の重み

K-POPの専属契約は、事務所による莫大な初期投資を回収するため、アーティストを長期間にわたって強く束縛します。契約を一方的に解除しようとすれば、天文学的な額の違約金が発生すると言われています。

一部では5000億ウォン(約550億円)とも噂される巨額の違約金は、たとえ噂だとしても、契約という「黄金の手錠」の重さを象徴しています。裁判所が契約の有効性を重視したのも、このビジネスモデルを維持するためという側面があります。NewJeansは、この契約の重みによって、活動の自由を奪われたのです。

まとめ

NewJeansの活動休止は、単なるグループのトラブルではありません。それは、親会社とレーベルの経営権紛争に端を発し、アーティストの人権問題、そして専属契約というK-POP業界の根幹を揺るがす問題へと発展した、象徴的な出来事です。

彼女たちは「解散」したのではなく、法的な契約によって活動を「休止」させられている状態にあります。裁判所の最終的な判断が下されるまで、彼女たちは沈黙を強いられます。

私がこの一連の騒動から確信したのは、この出来事がK-POP業界の構造的な欠陥を白日の下に晒したということです。NewJeansの勇気ある行動と涙の訴えは、アーティストの権利と、より公正な業界のあり方を問い直す、重要なきっかけとなりました。彼女たちの未来がどうなるかに関わらず、この闘いがK-POPの歴史における重要な転換点として記憶されることは間違いありません。

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