9人から8人へ…『Stray Kids』脱退メンバーとの運命の分岐点

2019年10月28日、Stray Kidsのメンバーだったキム・ウジンの脱退が突如発表されました。ファンにとってはまさに青天の霹靂であり、順風満帆に見えた9人の活動に大きな影を落とした出来事です。
私がこの一件で特に印象深く感じているのは、この脱退という分岐点が、結果的にグループと元メンバー双方を全く異なる形の成功へと導いたという事実です。この記事では、突然の別れから始まったStray Kidsとキム・ウジン、それぞれの軌跡を追い、運命の分岐点が何をもたらしたのかを解き明かしていきます。
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— 김우진 KIM WOOJIN (@woooojinn) September 2, 2024
キム・ウジン突然の脱退劇|その背景とファンの動揺
Stray Kidsの歴史を語る上で避けては通れないのが、メインボーカルであったキム・ウジンの突然の脱退です。この出来事は、グループとファンに大きな衝撃を与え、その後の彼らの物語を大きく左右する転換点となりました。
青天の霹靂|JYPからの公式発表
2019年10月28日、所属事務所であるJYPエンターテインメントは、キム・ウジンが個人の事情によりグループを脱退し、専属契約を解除したと発表しました。直前まで9人全員でステージに立っていただけに、このニュースはファンにとって信じがたいものでした。
この発表に伴い、発売が間近に迫っていたミニアルバム『Clé: LEVANTER』のリリースは延期されます。9人体制を前提として進められていた全てのプロジェクトが、根本的な見直しを迫られたのです。
「個人的な事情」という言葉の裏側
脱退理由として語られた「個人的な事情」という曖昧な言葉は、ファンの間で様々な憶測を呼びました。JYPは詳細を語らず、情報の空白が生まれます。
その中でファンの注目を集めたのが、リーダーであるバンチャンの配信での発言です。彼は具体的な名指しを避けつつも、「約束を破った」「自己中心的な行動でチームに迷惑をかけた」といった趣旨のコメントを残しました。この発言は、脱退が円満なものではなく、グループ内に深刻な問題があったことを示唆するものとして受け止められたのです。
それぞれの道|ソロとグループ、二つの成功物語
運命の分岐点を経て、キム・ウジンはソロアーティストとして、Stray Kidsは8人組のグループとして、それぞれが新たな道を歩み始めます。驚くべきことに、彼らは全く異なる場所で、それぞれの成功を掴み取っていきました。
キム・ウジンの新たな挑戦|音楽と俳優業でのグローバルな活躍
Stray Kidsを去ったキム・ウジンは、ソロアーティストとして再始動します。2021年8月には1stミニアルバム『The moment : 未成年, a minor.』で正式にソロデビューを果たし、自身のストーリーを伝える音楽を追求し始めました。
私が特に注目しているのは、彼の俳優業への進出です。HBO Maxのオリジナルドラマ『Além do Guarda-Roupa』(邦題|『クローゼット越しに』)で主演に抜擢されると、この作品がラテンアメリカで大ヒットします。彼はK-POPアイドルとしてではなく、俳優キム・ウジンとして新たなファンベースを海外で築き上げることに成功したのです。
試練を乗り越えて|『KINGDOM』で証明した8人の絆と実力
8人体制となったStray Kidsにとって、大きな試練であり飛躍のきっかけとなったのが、2021年のサバイバル番組『KINGDOM: LEGENDARY WAR』への出演です。彼らはこの番組で、逆境を乗り越える強さと圧倒的な実力を見せつけました。
番組のハイライトは、グループ内プロデュースチーム「3RACHA」の才能が遺憾なく発揮されたことです。彼らは披露する楽曲のほとんどを自ら手掛け、Stray Kidsだけの独創的な世界観を構築します。そして見事、番組の最終王者となり、8人体制のStray Kidsが完全な存在であることを世に証明しました。
世界的グループへの飛躍|Stray Kidsが打ち立てた金字塔
『KINGDOM』での優勝は、Stray Kidsの快進撃の始まりに過ぎませんでした。彼らはその後、K-POPの歴史を塗り替えるほどの、前例のない成功を次々と収めていきます。
商業的成功の幕開け|アルバムセールスの驚異的な伸び
Stray Kidsの成功は、具体的な数字に表れています。『KINGDOM』優勝後初となるアルバム『NOEASY』は、グループ初のミリオンセラーを達成しました。
その後、彼らのアルバムセールスはリリースごとに爆発的に増加します。2023年にリリースされた『★★★★★ (5-STAR)』は、先行予約だけで500万枚を突破し、K-POP史上でも数少ない「5ミリオンセラー」の称号を手にしました。
アルバムタイトル | 発売年 | フォーマット | 売上/認定 (KMCA) | 最高位 (Billboard 200) |
Go Live | 2020 | Studio Album | Platinum (445,996枚) | – |
NOEASY | 2021 | Studio Album | Million (1,979,013枚) | – |
ODDINARY | 2022 | EP | Million (2,100,814枚) | 1位 |
MAXIDENT | 2022 | EP | 3× Million (3,749,073枚) | 1位 |
★★★★★ (5-STAR) | 2023 | Studio Album | 5× Million (5,258,829枚) | 1位 |
樂-STAR | 2023 | EP | Million | 1位 |
ATE | 2024 | EP | – | 1位 |
Hop | 2024 | Mixtape | – | 1位 |
Billboardチャートを席巻|前人未到の6作連続1位
Stray Kidsの成功は韓国国内に留まりません。2022年、EP『ODDINARY』がアメリカの主要アルバムチャートである「Billboard 200」で初登場1位を獲得します。
信じがたいことに、彼らはそれ以降にリリースした『MAXIDENT』から最新作『Hop』まで、6作品連続で同チャートの1位を記録しました。これはビルボード69年の歴史においても、史上初のアーティストとなる前人未到の快挙です。
まとめ|分岐点がもたらしたそれぞれの成功
キム・ウジンの脱退という出来事は、Stray Kidsと彼自身の運命を大きく分ける分岐点となりました。しかし、その後の軌跡を追うと、この別れが双方にとって新たな成功への「触媒」として機能したことが分かります。
Stray Kidsは8人の結束を強め、自らの手で音楽を創造するアイデンティティを確立し、世界的なグループへと飛躍しました。一方でキム・ウジンは、アイドルという枠を超え、音楽と演技の世界でグローバルなファンを獲得する独自の道を切り拓きました。
一つのグループの歴史に起きた痛みを伴う別れが、結果として二つの異なるサクセスストーリーを生み出したのです。彼らの歩みは、K-POPの歴史において、困難が新たな機会を生み出すことを証明した、特異な一章として記憶されるでしょう。